2023/10/16

 こんにちは。4期生の縫田優人です。2023年10月6日(金)に西武鉄道株式会社(所在地:埼玉県所沢市)へ企業訪問を行いました。当日は長島剛先生、多摩大学総合研究所の方、公益財団法人東京市区町村自治調査会の方2名と私の5名で訪問しました。

 今回の訪問では、Collective Impact in TAMA&Tosho(通称CIT)の一貫で、西武鉄道株式会社沿線価値創造本部事業創造部沿線価値深耕担当課長の方に西武鉄道の沿線での取り組みについてヒアリングを行いました。CITは「地域の未来予測を踏まえた多様な主体との広域的な協働のあり⽅に関する調査研究」(多摩・島しょの広域連携のあり方に関する調査研究)を公益財団法人東京市町村自治調査会とともに行うものです。

西武鉄道組織図

【引用】2022年会社要覧

 西武鉄道株式会社は、前身である武蔵野鉄道が、1912年(明昭和45年)5月7日資本金100万円をもって設立され、1915年(大正4年)4月池袋〜飯能駅間43.7kmを汽車によって営業開始しました。その後、電化、複線化、線路の延長を進め、1929年(昭和4年)9月、現在の池袋線が完成しました。1945年(昭和20年)には旧西武鉄道(現新宿線、国分寺線、西武園線、多摩川線、安比奈線[廃止])を合併し、翌1946年(昭和21年)にはバス部門を分離して、社名を現在の西武鉄道として新たに発足し、戦後の困難を克服して復興に努力してきました。その後は、新線の建設、複線化、駅舎や駅構内の改良、車両の増備などにより、輸送力の増強・サービスの向上に努める一方、観光、不動産などの生活関連事業を営み、沿線の発展、活性化にも努めてきました。また、近年は “人と環境にやさしい鉄道”を目指してバリアフリー施設の充実に力を入れるとともに、環境に配慮した施設や車両の導入を進めています。現在、幹線2、支線10を含む12路線、旅客営業キロ176.6km、輸送人員139万人(2021年度1日平均)を数える都市交通の担い手として、地域社会の発展に貢献しています。

 お話では、鉄道事業の再編について伺いました。西武ホールディングスは、連結子会社である西武鉄道の不動産事業および沿線観光事業を株式会社西武リアルティソリューションズ(通称SRS)に吸収分割することにより、西武ホールディングスは鉄道事業および沿線の価値向上に注力し、収益力を強化するとともに、SRSは都心部やリゾートエリアの資産に加え、西武線沿線の資産の価値極大化を図ったそうです。組織再編の背景としては、コロナ禍における価値変容・行動変容の定着により、都市交通・沿線事業の経営改革が必要とされており、この分割はその一環として行われたことを知りました。また、総合不動産会社となるSRSは、都心エリアや軽井沢など全国にまたがるグループ保有資産の有効活用や西武鉄道沿線の価値向上に資する取り組みを通して、グループ保有資産の価値極大化を進めて行こうとしていると理解を深めることができました。

都市交通・沿線事業の経営改革

【引用】2023年3月期 決算実績概況および「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」の進捗

 さらに、沿線価値創造本部事業創造部では、はんのーと西武グリーンマルシェ江古田キャンパスプロジェクト、西武沿線サミットといった企画を行って沿線の価値を高めていると知りました。個人的に興味深かったのは西武沿線サミットのお話でした。西武沿線サミットは西武池袋線・西武秩父線のそれぞれの起点・終点と沿線自治体である豊島区、所沢市、飯能市、秩父市、横瀬町の5自治体による広域的な連携の輪を広げ、観光、文化、教育、産業、環境などの幅広い面で交流するとともに、それぞれの自治体の魅力を内外に発信するような取り組みに発展させることを目的に、5自治体をつなぐ西武鉄道株式会社の協力も得て地域振興や活性化に連携・協力して盛り上げていこうとするものです。実際に、西武沿線サミットを進めていくうえで自治体によって考え方に差があることを知りました。これは私も似たような経験をしたことがあり、ゼミの多摩未来協創会議プロジェクトを進めていく上で、やらない人をどう動かすか考えた時に共感を覚えました。また、プロジェクトを進めていくうえでキーマンを明確にしたのだが、人事異動なのでプロジェクトが滞ることがあったと伺いました。企業と自治体の連携にも我々学生が行っているプロジェクトとは違う課題があることを知りました。

 今後もカバン持ちを通じて地域の課題解決への知見を得ることや自分のキャリアに活かしたいと思っています。さらに、企業訪問という機会を利用して、企業、行政、大学の情報交換と交流により地域社会との連携を行っていきたいと考えています。