こんにちは。二期生の半澤です。

10月21日(金)に日野市で行われた “福祉×産業で実現するWell-beingな まちづくり研究会” 第二回勉強会に参加させていただきました。今回は「障碍者アートが街をつなぐNO-MAの事例」というテーマで、社会福祉法人グローの西川さんにご講演いただきました。

社会福祉法人グローは滋賀の二つの社会福祉法人組織がまとまったもので、”地域に生きる全ての人の安心な暮らしが保証され、尊厳を持ちその人らしく生きることができる社会を創っていく”ことを理念に、福祉サービス事業や芸術分野で新しい価値の創造を行っています。

今回は芸術分野での取り組みについて①ボーダーレス・アートミュージアムNO-MA ②2017 ジャパン×ナントプロジェクトについてのお話が印象的でしたので、それらについて書いていきます。
①ボーダーレス・アートミュージアムNO-MAは障がいのある方達の美術作品を常設展示するために近江八幡市の古い民家を改装して作られた展示施設です。”障がいの有無を乗り越えて、人が持つ「表現することの普遍的な力」を感じることができる場”として、一人一人が多様な価値観を認め共有しあう共生社会の実現に貢献しています。参加したスタッフからも好印象のイベントであったらしく、「障害のある人とそうでない人を区別することなく見ていいのだと気づかされるイベントだった」といったポジティブなコメントが多く寄せられました。

2017 ジャパン×ナントプロジェクトは日本の障がい者の優れた優れた文化芸術が、文化芸術創造都市として名高いフランスのナントから世界に向けて総合的に紹介されたイベントです。滋賀の”湖南ダンスワークショップ”や島根の”いわみ福祉会芸能クラブ”をはじめ、日本各地の障がいを持つ方が所属する舞台芸術が公演され、延べ11,000人が鑑賞しました。また、フランス国立現代芸術センターで開催された”KOMOREBI展”では900点の作品が展示され文化芸術を用いて障害を持つ方への理解を助けました。

上記の二つの活動の根幹として、アール・ブリュットという文化があります。これは”正規の美術教育を受けていない人による芸術”や”既存の美術作品に影響されない表現”に使用されます。障害を持った方が描く芸術作品が人の心を動かし、このジャンルで芸術文化の発展に寄与していると高い評価を受けています。このことは作者だけではなく作者の家族もエンパワメントし、画一的に見られがちである障がい者を一般人同様に多様な存在であることを示すものになっています。

文化芸術と社会福祉を組み合わせ、多様性を認め合い誰もが気軽に文化芸術に親しめるシームレスな環境づくりを目指す社会福祉法人グローの取り組みに心を打たれました。障がいを持つ方自身が芸術作品を通して社会に多様性を発信し、それが大衆にいい形で受け取られる世界が、Well-beingな社会実現に必要な要素の一つだと感じました。