こんにちは、3期生の加川です。今回は、私がゼミ活動で最も力を注いだ「テクトレージプロジェクト」についてお話しします。私の卒業とともに本プロジェクトもひと段落ついたので、この記事を通してこれまでの活動を総括し、振り返りたいと思います。

テクトレージプロジェクトとは

 テクトレージプロジェクトとは、工作機械商社である株式会社テクトレージ様と、私たちながしまゼミが共同で行う、中小企業の人材不足解消を目指した取り組みです。大学生や高校生に向けて中小企業の魅力を動画で発信する活動からスタートし、その後もさまざまな試行錯誤を経て形を変えながら、現在は「高校生に向けた中小企業への就職を促すアプローチ」という切り口で活動を続けています。

これまでの活動

 私が本プロジェクトに加入したのは約3年前になります。当時は、石川先輩という非常に優秀なリーダーのもとで、私は右も左もわからない状態からスタートしました。石川先輩は、先生の力をほとんど借りず、一人でプロジェクトを立ち上げ、自立させていたため、私はメンバーとしてリーダーを支えることができていませんでした。

 そのような中、石川先輩は卒業と同時に本プロジェクトからも引退し、リーダーの役割を私に託してくださいました。しかし、そこからの約1年間は、石川先輩が築いた基盤の上で、テクトレージ様から次の訪問企業の紹介をただ待つだけの、受動的な活動に変わってしまいました。

 このままでは学生の学びが最大化されないと感じた長島先生から新企画立案の助言をいただき、ここで初めて私がリーダーとして新たな取り組みに挑戦しました。新企画を立案する中で、高校の教員の方々にヒアリングを行った結果、高校生は中小企業を就職の選択肢に入れるための知識がそもそも不足しているという課題が明らかになりました。そこで、まずは高校生に中小企業について知ってもらい、興味を持ってもらうための授業を企画しました。

 授業を実施するにあたり、私は単に高校生に中小企業への興味を持たせるだけでなく、その効果的な手法を研究し、今後に生かすことを本企画の真のゴールとして設定しました。この研究結果は卒業論文「高校生に中小企業の魅力を伝える授業形式の効果比較」としてまとめました。

養われた力

 以上の活動を通じて、私が本プロジェクトを通じて養った力は、主に2つあります。

信じる力

 一つ目は、「信じる力」です。これは、周囲を信頼し、任せる力を指します。この力は、多くのゼミ生、特にリーダーを初めて経験する学生や社会人にとって、まだ身についていない場合が多いと感じます。ただし、人に仕事を任せるということは、非常に勇気のいる行為です。なぜなら、自分で行ったほうが質も速度も確実であり、なにより過去に他人に期待して任せた結果、裏切られたと感じた経験を持つ人も多いからです。

 しかし、私は、その「裏切り」を感じてしまうことこそが、メンバーを消極的で受動的な存在にしているのではないかと考えました。そこで、「メンバーや部下の『できない』は、すべてリーダーである私の責任である」という考えに至りました。実際にすべての責任がリーダーにあるかどうかは別として、このマインドを持つことが、私がリーダーとしてチームを引っ張る上で重要であると感じました。

 とはいえ、この姿勢を貫くのは非常に根気のいることでした。先生や友人に相談したり、リーダーシップに関する本を読んだりしましたが、最も効果的だったのは、メンバーと直接向き合い、粘り強く共に努力することでした。相手の考えや気持ちを理解した上で、自分のリーダーとしての想いや価値観を丁寧に伝えることが、何よりも大切だと感じました。つまり、「信じる力」とは、信じられる人間になるまで粘り強くコミュニケーションを取り続ける力であると言い換えられると考えます。

課題解決力

 二つ目は、「課題解決力」です。この力を身につけた理由は、「本当の課題解決方法を考えるようになった」からだと考えています。一見、課題解決を考えるのは当然のように思われるかもしれませんし、もちろん以前の私も考えていないつもりだった訳ではありませんでした。ここで言う「本当の課題解決」とは何なのでしょうか。

 先代のリーダーである石川先輩の活動を見ていた私は、「先生の力をなるべく借りずに活動する」というプチテーマを掲げていました。その中で約1年間活動を続けるうちに気づいたのは、先生に頼りすぎると、本来の目的が「企画を成功させる」から「先生を納得させる」にすり替わってしまう危険があるということです。ながしまゼミの学生であれば、先生との壁打ちで鋭い反論を受け、何度も企画を練り直した経験があると思います。それ自体は重要なプロセスですが、何度も繰り返すうちに、無意識のうちに本来の目標を見失うケースが多いと感じました。そのため、私は先生の意見に頼りすぎず、自分の考えでやり抜くことを意識しました。その結果、課題解決において目的を見失わず、真の課題解決力を磨くことができたのではないかと考えています。

他メンバーの声

 以下に、他メンバーの感想を紹介します。

4期生 横田涼真

 テクトレージプロジェクトに参加したことで、中小企業の定義など、基本的な知識を一つひとつ説明する必要があり、その過程で理解を深めることができました。
 以前取り組んでいた動画制作の活動に比べると、高校での授業はより直接的に取り組む内容であり、少なからず効果があったと感じています。2025年は、昨年よりもさらに一歩踏み込み、より直接的で実践的な活動に挑戦したいと考えています。

5期生 山田康陽

 今回テクトレージ様でこのような企画をやらして頂き高校生とも関係を築けてとても面白いプロジェクトになることができました。私自身初のゼミのプロジェクトでしたので右も左も分からなかった中、先輩たちのおかげもあり、高校生に企業の魅力について、教えられたと思っています。高校生に授業をしていく中で、将来このように生徒に何か教えるのも、とても、気持ちの良いもので、中にはしっかりと聞いてくれない生徒もいたり、授業が終わったあとに、話にかけてくれる生徒も居て、私自身もこのプロジェクトについて、深く知ることが出来たし、スライドを作る中で私も学ぶことが沢山ありました。

5期生 渡邊勘生

 このプロジェクトに参加して、今まで初めて高校にいって授業を行うということをしました。うまく伝わるように高校生視点で資料を作りました。実際に発表してみて改善するところがいくつか見つかり良い経験になったと思います。私も中小企業についてあまり知らなかったことが多く自己学習にもなりました。途中参加でプロジェクトに参加しましたが先輩達や友達に優しく指導されたおかげで貢献できたと思っています。

さいごに

 さて、今後のテクトレージプロジェクトは後輩たちに引き継がれます。不安もありますが、振り返ると私がリーダーを引き継いだ当初も、石川先輩から見れば頼りなさを感じさせる状態だったのではないかと思います(笑)。それでも、石川先輩が私を信じて任せてくれたように、私も後輩たちの力を信じてバトンタッチすることで、彼らもきっとさらなる成果を上げてくれると期待しています。ながしまゼミ恒例の「ホームカミングデー」で良い報告を聞けることを楽しみにしつつ、私は社会人としてこのながしまゼミで学んだことを最大限に活かし、次のステップへ進んでいきたいと思います。